常識では考えられなかった地方巡幸

日本天皇の特質を知る上で、はるかに大切なのは中世史である。日本の中世史が意義深いのは、長い時間をかけて天皇を権威だけの存在として残し、実務権力のほうは幕府が担うという世界でまれに見る、特異な「権・権分離」の政治体制を作り上げたからである。 …

昭和天皇から受けた感動

昭和天皇が崩御され、テレビが追悼番組一色になっていたとき、私は敗戦後の天皇が全国を巡幸する様子を撮った記録映画を食い入るように見つめていた。群衆の前に命を投げ出すかのように、まったく無防備な天皇がいた。のちに公開された『昭和天皇独白録 (文…

皇位継承は男系の伝統継承よりも権威の継承が重要

自民党の武部勤幹事長は5日、水戸市で開かれた会合であいさつし、「日本という国は天皇中心の国であります。中心がしっかりしているということと同時に、中心をみんなで支えていく。そういう国柄だと思います」と語った。(『朝日新聞』) 皆さん、この報道…

 ラビ・モーゼ『日本人に謝りたい』

( ユダヤの長老的存在。戦前はルーズベルト大統領の側近として日本を研究し、戦後は対日処理の立案に加わった。本書の評価は「怪しい」というしかないが、天皇を論じた箇所は聴くに値するのでは。)

 トーマス・ボッブの市民社会論

市民社会は万人に対する万人の闘争である。この戦争状態をやめなければ、やがて共倒れになって、全員没落、死滅に至る。だから人間たちは、一定のルール(法)の下に国家権力の裁定を背にして競争する必要がある。この権力のナンバーワンは、国家の成員たちの…

 ヘーゲルの立憲君主論

国家は市民社会の分裂を停止させるために創出されたが、今度は国家権力を握ろうとして四分五裂する。国家は一つである。つまり分裂してあってはならない。だから当然、その中心は一つでなければならない。しかもこの一つがつねに変化するのであれば国家の安…

 福沢諭吉の帝室論

皇室を尊重するとは如何に。それは皇室を、政治をもって煩わし申してはならぬというに帰する。皇室は政治の外に仰ぐべきものであり、またかくのごとくしてこそはじめて尊厳は永遠のものとなる。 自ら政治の衝に当られぬとして、しからば皇室の御任務は何処に…

 バジョットのイギリス憲政論

バジョットのイギリス憲政論の中にこういう部分があります。 国民は党派をつくって対立しているが、君主はそれを超越している。君主は表面上、政務と無関係である。そしてこのために敵意をもたれたり、神聖さをけがされたりすることがなく、神秘性を保つこと…

 大西邦敏教授(比較憲法学)の君主論

君主制の条件は何か。政治的な権力を持つ、持たない。国を代表する、代表しない。こうした論点は関係ない。世襲の君主が存在する。これだけでいい。世襲の君主が存在すればその国はそれだけで君主国である。誰が権力を持っているか、誰が国を代表しているか…

八木秀次氏のY染色体説

皇統とは天皇直系ということではない。神武天皇の血を父親系統、男系で引き継いでいることであり、それが万世一系である。 八木秀次高崎経済大学助教授は云う。過去の八人(十代)の女帝は、あくまで男系の男子の天皇に継ぐためのピンチヒッターであった。女…

計算でまちがう文化人=立花隆

立花隆氏の「Y染色体論」が異彩を放っています。そのトンデモぶりが一手に話題をさらっている感があります。

Y染色体論の有効性

インターネット上を皇祖男系に刻印されたY染色体論への賛否が飛び交っています この問題を理解するまえに必要なのは、独裁的権力にも打倒されることなく、また対外戦争での敗戦によっても滅びることなく、1500年以上に亘って、権威を失わなかった天皇制の意…

女性天皇・女系天皇賛成論者の危うさ

女性天皇・女系天皇にもろ手をあげて賛成している人たち、とくにテレビで発言している人がよく使う言葉に、男女平等、基本的人権、民主主義…があります。「旧皇族と結婚すればよい」などと言うものなら、感情をあらわにして「自由恋愛の世に何を言うか」と息…

 側室制度

近世・近代の例を見ても、第115代桜町天皇以降、123代大正天皇まで9代続いて天皇の生母は皇后ではなく、側室であった。たとえば、明治天皇は昭憲皇太后との間には子どもが生まれず、5人の側室を持ったが、側室から生まれた15人の皇子・皇女のうち成人したの…

 男系の系譜

過去、親も祖父も天皇でないにもかかわらず即位した天皇が5名いる。第25代武烈天皇は継嗣を残さず死んだため、第16代応神天皇の五世にあたる26代継体天皇(即位は西暦512年)に受け継がれたとされている。継体天皇の3人の皇子が次代の天皇になったが、その…

 華族制度

華族(かぞく)とは、明治から昭和22年まで存在した日本近代の貴族制度のことである。 明治維新のとき、公家と旧大名の藩主を華族として、1884年の華族令で法的身分に定められた。華族は旧公家・大名藩主家のほか、明治維新勲功者が取り立てられ、その爵位は…

象徴家族と近代家族を統合することの難しさ

(山折哲雄国際日本文化研究センター名誉教授) cŽº“T”Í‚ÉŠÖ‚·‚é—LŽ¯ŽÒ‰ï‹c(‘æ6‰ñ)‹cŽ–ŽŸ‘æ もしもカリスマ原理の象徴性というものが欠けると、恐らく象徴天皇制が歴史的に果たしてきた役割というものを維持することはできなくなるのではないかという気さえ…

女性天皇以後の皇位継承は男子優先より長子優先がいい

女性天皇を容認した場合、女性皇太子の夫が旧皇族でないかぎり子孫の男系が変わることになるので、こうした場合にも男子優先では困るでしょう。望まれる男系は皇祖男系のことでしょうから。でも皇祖の定義は憲法にも皇室典範にも書かれていないし、書き加え…

傍系継承は現代にそぐわない[皇位継承問題]

兄弟傍系は長男直系に不測が生じたときの備えでしかないです。兄弟でつないでも弟宮にも男の子がいないのだから一時しのぎ。中世と違って現代は忙しいので、兄弟継承で新元号が5年もつかもわからないような代替わりは極力なしにしたいというのが大方の考え…

女系天皇反対の人たちは現実的な認識を欠いていないだろうか?

天皇制の本質は男系継承にあります。しかし、現憲法は第2条で「皇位は、世襲のものであつて、…」としています。広辞苑によると世襲とは、 その家の地位・財産・職業などを嫡系の子孫が代々うけつぐこととなっています。で嫡系とは直系子孫のことです。つま…

 旧皇族の11宮家

マッカサーとの会見で天皇は開口一番、自己の生命や財産の保証ではなく、国民の財産や生命の保証を求めた。国民を質入れして自己の保身を計る西洋の君主とは逆に、自己を質入れして国民の救済を求めたのであった。昭和21(1946)年、GHQは皇室財産の総額…

女系天皇に反対したいのはやまやまなれど

【お断り】文中(脚注)で水色の下線が引かれている箇所はあとから追記したものです。追記の理由は3点です。 こんなことが論点になると思わなかったのでスルーした。 趣旨が誤解されないように補強した。 問題への理解が深まってきて訂正の必要が生じた。 …

『皇位継承問題』 投稿記事一覧

女系天皇に反対したいのはやまやまなれど(2005年12月) 女系天皇反対の人たちは現実的な認識を欠いていないだろうか? 有識者」の案で皇室典範が改正されれば皇族の女性の夫も皇族になるわけですから、ふさわしい配偶者は限られてきます。なによりも皇族の…