Y染色体論の有効性

インターネット上を皇祖男系に刻印されたY染色体論への賛否が飛び交っています
この問題を理解するまえに必要なのは、独裁的権力にも打倒されることなく、また対外戦争での敗戦によっても滅びることなく、1500年以上に亘って、権威を失わなかった天皇制の意義を噛み締めることです。皇統の男系継承とは、直系(これが一般家系の常識)や傍系(世間的には兄弟間継承)といった常識を逸脱して何親等も離れていても、とにかく男系で継承するという非常識を伝統としてきたことに本質があるわけで、これを現代人の知識で理解すればY論になるということだけですから、何ら奇をてらった話でも、トンデモ論でもありません。
天皇の権威は、直系主義での権威独占を否定し、外戚の権力による権威の簒奪も許さない構造=皇祖先祖を祭祀する資格者たる男系子孫(女性天皇も可)によって継承されるという伝統に支えられてきたことにあると考えられるわけです。天皇に権威があるこの国では、どんな権力者でも天皇をさしおいてNo.1にはなれないし、戦国時代の下克上や、現代民主主義政治のようなエゴ政党のぶつかりあいでも一国が内部分裂することを防ぐことができる。この国を国として共通の認識をもてる形に統合しているのが天皇です

有識者会議の案どおり直系長子優先で幾代も皇位継承されれば男系がコロコロ変わることになります。これまでの天皇とは異なる「Y」をもつ男系の男性天皇女性天皇を日本の象徴の座に祭ることまでして、共同幻想を維持していくのですか?こうした別人間の天皇たちが皇祖祭祀を行うのはおかしくありませんか?という話です。
日本の神話はよくできていて男系で始祖をつくるためには始めに女性をもってこないといけないということで天照大神を祭神にしているのです。中世の藤原家がもし権威簒奪に成功し、今日まで男系子孫で皇位を継承してきていたとしたら、8世紀に実在した神武系皇女が天照大神ということになっていたでしょう。