地球環境は気まぐれに

欧州東部に厳しい寒波 独で氷点下34.8度、ポーランドで150人死亡
http://megalodon.jp/fish2.php?url=http://www.sankei.co.jp/news/060124/kok033.htm&date=20060124150623
今年は地球温暖化話が嘘のように寒すぎなのだが、こうしたニュースをみると地球温暖化の恩恵を受ける国があるのも事実で、地球の耕作可能面積が増えて餓死者が減るのも事実だ。なぜ地球温暖化反対なの? と突っ込みを入れたくなる。そういえば70年代は言っていることが逆で氷河期の到来を心配していた。しょせん人間の力で気象現象をコントロールできるわけがなく、温暖化対策をどんどん進めてみたら地球寒冷化が止まらなくなったということも今後起こりえるわけで、温暖化より寒冷化のほうがましなのか、すこぶる疑問に感じる今日この頃である。

対案【旧皇族子孫の皇籍復帰を盛り込んだ皇室典範改正法案】はいつできる?

天皇制存続を願う諸君のサイトが浅はかさを競う見本市のようになっているのを悲しく思う。誰一人、旧皇族子孫の皇籍復帰の道筋を付けることができていないことを懸念しないで、復帰を100万言唱えれば実現可能と信じているかのようだ。
私は旧皇族子孫の皇籍復帰を念頭においていないので心配は杞憂だが、皇籍復帰を主張している諸君は、一番肝心な問題である「旧皇族子孫の皇籍復帰を盛り込んだ皇室典範改正法案の作成」を他人まかせにしていてよいのだろうか。皆がみな他人まかせでは未来永劫対案作成はないと思うべきである。思考停止に陥らずにしっかり考えてもらいたいものだ。
旧皇族の子孫とは言っても、皇族として生まれたわけではなく、生まれたときから民間人であり、民間人にまじってふつうに成長してきている。こうした人たちを強制的に皇族にできる法理は存在しない。皇統に属する男系子孫ということをいうのであれば11宮家以外にも候補者は存在する。すると、皇室典範○○条に

  • 皇統に属する男系子孫であることを証明できる者が申し出た場合は皇族とする

というような条項を入れることになろうが、こうした皇族応募者の皇位継承順位をどうするかでひと悶着起こすことになろう。いっそのこと条件付で皇族化を認める法案も考えられる

  • 皇統に属する男系子孫であることを証明できる者が内親王と結婚した場合に限り、その男性を皇族とする

皇族の結婚相手は皇族か華族に相当する者に限られてきたのが60年前までの長年の皇室の伝統である。伝統重視なら、「旧皇族の子孫(民間人の男性)と民間人の女性が結婚して、二人の間にできた子が皇室で育てられることもなく天皇になる」ことを承認するのはおかしい。したがって条件付皇族化でないとスジが通らない。しかしこれでは現代社会の法理には馴染まないであろう。
そこで『有識者会議』が考え付いたのが「内親王が結婚した場合に結婚相手の男性を皇族にして宮家を名乗ることができる」という案であった。内親王および内親王の子にも皇位継承を認めることになれば、皇位は安泰である。さすがに「内親王が宮家を興すことができるのは結婚相手の男性が皇統に属する男系子孫であることを証明できる者である場合に限る」といった条件を付けることはできないが、そこは不文律でよい。


さて、『有識者会議』の案が採用されずに、対案としての「旧皇族子孫の皇籍復帰を盛り込んだ皇室典範改正法案」なるものが採用されることがありえるであろうか。現実政治にコミットする能力があれば、まず、絶対にないと考えるはずだ。そもそも対案が作られることすら怪しいものだ。考えられることは『有識者会議』の案に沿った法案が可決されるか、否決されるか、上程を見送るかである。もし可決されないとなれば事態は深刻である。年齢的に秋篠宮より若い皇位継承資格者が存在しないことになる。つまり宮家で後世に残る宮家が1つもなく、新しい宮家もできずに4,50年後に皇統断絶である。もちろん皇統断絶の責任をとるべきは、皇室典範の改正法案に反対した諸君だ。
対案を放棄して皇室典範第1条「皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する」を「皇位は、皇統に属する男系の子が、これを継承する」に修正するだけにすればよいと戦術変更したところもあるようだが姑息な話だ。女性天皇を認めるならば必然的に女性宮家の創出を視野に入れなければならないわけで皇室典範第1条の修正だけでは済まないのである。修正などという詰まらないことで紛糾して「法案見送り」を目的化する結果が皇統断絶になってしまうことを肝に銘じていただけたい。


天皇制の永続を願っている多くの人たちのなかで意固地なことを言っているのは保守の中の一部の人間だけにすぎない。右翼的保守とか伝統的保守とか真正保守とか呼称はいろいろだが、要するに思想ががった保守の人たちである。思想ががっていても、リーダーが広い視野を持てる人ならまだ安心できるが、視野狭窄状態のリーダーに率いられている場合は間違いに気がつかないものである。
思想を持つことが悪いというのではなく、他人の思想を鵜呑みにしていることが良くないのである。自分でしっかり思考して得た思想なら、その思想の中に自分だけの言葉があるものである。自分だけの言葉がある人は自分で軌道修正できる人である。天皇制存続を願う諸君のサイトが浅はかさの見本市のように傍から見えるのは、思想ががった保守が徒党を組むようになり、とうとう集団催眠にかかってしまったからである。

旧皇族の皇籍復帰を主張している人たちへの質問状【補足】

人様のBlog『ぼやきくっくり』でコメントしてきた内容をまとめて転載します。

  • 1)2)有識者会議には八木秀次氏が出席され、説明資料も含めて旧皇族皇籍復帰による男系継承が最善という主張をしましたが、説得力に欠け受け入れられませんでした。
    なぜかというと、誰が誰を説得して旧皇族の方に復帰してもらうのか(第三者が影響を及ぼしたりすることになりかねない)、旧皇族の方のなかで皇位継承第1位を誰にするのか(恣意的な判断が入ってくる)、愛子天皇を中継ぎにするのか、中継ぎを置かずに即位していただくのか(いずれにしても、皇室で育っていない人が天皇になったり、皇族として生まれていない人が天皇になることになる。前者なら愛子天皇の実子に即位させるべしという国民の声がでてくる、後者ならマス・メディア社会にあって許容されるか疑問)といった込みいった疑問が次から次に出てきたからです。したがって、こうした疑問にどう答えるのか、八木秀次氏以上に説得力のある論を構築できるのかが待たれると思って質問しました。
  • 3)4)第26代継体天皇も第24代仁賢天皇内親王武烈天皇の妹)を皇后にし、その皇子が第29代欽明天皇ですし、第119代光格天皇は第118代後桃園天皇内親王を皇后に迎え入れています。

    だからといって、旧皇族皇位継承される条件に内親王との結婚を皇室典範に盛り込めるかというと、無理だと思います。それならば、いっそのこと旧皇族のなかから愛子天皇の結婚相手を選んでいただき、お二人の間にできた実子が次の天皇になるという皇位継承のほうが自然ではないでしょうか。このやり方なら旧皇族皇籍復帰に生じる疑問を回避でき、「皇位継承をどうするかは天皇家旧皇族の方たちが相談しあって決めるのが一番よい」という考えにも沿っています。その意味で有識者会議の改正案は縛りがないですからムキになって反対するようなことではないと私は思うのです。旧皇族皇籍復帰の主張にこだわればこだわるほどややこしくなってくるのではないでしょうか。
  • 5)現皇族に男系子孫が恵まれず、旧皇族の方への男系継承が真剣に取りざたされている現在とこれまでとでは、皇族に嫁ぐ女性の意識が変わってくるのは当然です。これまでは、これほど男系継承が大変なことだとは考えていなかったし、ある意味楽観していたわけです。旧皇族皇位が継承されるのは「天皇は男系でなければならない」という主張が世論になったときですから、「どうしても男の子を」という世継ぎへの期待が夫や夫の両親からだけでなく国民全体から掛かるわけで、プレッシャーは想像を超えます。もし旧皇族の独身男性が適齢期にあり結婚して生まれてくる男の子が次代の天皇になるきまりなら、配偶者となる女性は、いま渦中にある皇位継承問題を意識しないわけがなく、二の足を踏むことでしょう。あるいはまだ幼い男子の次代が天皇になるきまりなら、その未来の配偶者になる女性の両親は、現在30代前後の人ですから娘を皇太子に嫁がせることにプレッシャーを感じないわけがなく、やはり二の足を踏むことでしょう。このプレッシャーを緩和するためには、女性天皇でも、女系天皇でもかまわない天皇制を築き上げるしかないと思います。
  • 6)の補足。下記のサイトを見てください。いずれも「女性天皇を容認する皇室典範改悪」に反対している天皇制反対者のサイトです。

  http://www.geocities.jp/jotenken/syomei.html
  http://www.jimmin.com/doc/0454.htm
  http://www.mitene.or.jp/~nose/syaka6.html

旧皇族の皇籍復帰を主張している人たちへの質問状

  1. 旧皇族皇籍復帰案は「皇室典範に関する有識者会議」でも検討されましたが却下されています。一度却下された案を再考させるためには、新事実なり新論拠なりが提示されるべきですが、お見かけしたところそうしたことがなされているようには見えません。どうしてですか?

  2. 皇位継承の候補者として旧皇族皇籍復帰を可能にするためには、皇室典範旧皇族の方々の皇位継承順位を定める必要があります。恣意的な要素を入れずに継承順位を定めるのは不可能ではないでしょうか?

  3. 現在の皇室典範大正天皇の直系を皇族としています。傍系から天皇を迎え入れる場合は、内親王を皇后にするのが皇位継承の伝統であり、皇籍復帰さえすれば誰でも天皇になれるとしたら伝統に反します。皇室典範をどう改正するのがよいか、伝統を重んじる立場で答えてください。

  4. 旧皇族への皇位継承を可能とする皇室典範改正案が憲法2条違反「皇位世襲のもの…」の誹りを受けながら国会で可決されるようなことがあるとお考えですか? あなたの現実判断能力に自信はおありでしょうか?

  5. 現代の目で見ると複数の女性を世継ぎを産む道具にすることでかろうじて維持してこれたのが男系天皇制です。一夫一妻制になった現代において男系を維持することは不可能です。旧皇族皇籍復帰が実現しても同じです。男系にこだわり続けると皇位継承資格のある皇族と結婚する女性は皆無になると考えられます(そもそも女性のご両親が大反対します)。あなたはこの意見に対してどのような反論ができますか? その反論は天皇の権威を損なわずに継承できる反論になっていますか?

  6. 女系天皇に絶対反対の立場の人や女性天皇にも反対の立場の人は、保守の一部と天皇制反対論者に限られています。もし、こうした勢力が増えて「男系天皇でないと天皇でない」という主張が通ると、いずれ天皇制は断絶することになります。あなたはそうなることを望んでいますか? それとも男系天皇でなくとも天皇の価値を感じることができるという意見に賛成ですか?

やはり女系天皇反対派は正論小児病らしい

私は「皇位継承」または「女系天皇」の文字を含む記事をRSSで収集している。毎日かならず新しい記事がある。そのほとんどが女系天皇反対だ。誰かが言い出すと皆同じようなことを言い出すから、いまや金太郎飴状態である。
徳仁天皇になれば秋篠宮立太子するはずだった」というのが莫迦げた話であることは昨日述べたとおりで、秋篠宮にとっても失礼な話だ。徳仁天皇になれば、皇位継承次位の立場であられる弟宮として天皇を補佐する働きが秋篠宮様には求められており、それは皇位継承順位が2位でも3位でも少しも変わりないことである。こんなことは常識でもわかりそうなことだが、なぜか日本通、天皇通の人たちが同じ間違いをなさっている。自立した柔軟思考ができなくなり、思考麻痺に陥っている証拠である(→google:秋篠宮 立太子)。


口裏を合わせたように「拙速な議論である」というのも共通している。本来、天皇は「生まれながらにして天皇になられるお方」であるべきで、そこに争いがあってはならない。愛子様はすでに5歳になられた。女性天皇への国民的合意を得るのにこれ以上延ばしたらどうなるか。愛くるしいお子さまではなく、自分のお考えをしっかりもつようになった愛子様への好悪感情や才能評価で賛否を求めるようなことになろう。天皇にしてもよいかどうかを、何が問題になっているかを十分理解できるようになった愛子様を前にして国民投票するようなものだ。天皇制のあり方からすればあってはならないことだ。こんなことが想定されることも想像できずに「決めるのは5年先、10年先でもよい」などと、よく言えたものである。


最近は「女性天皇だけを認めて女系天皇については先延ばしにする案」が大手を振るっている。これも現実離れしていることはなはだしい。女性天皇になる愛子様に「結婚するな」とか「子どもを作るな」などと人倫にもとることを言えるわけがない。ご結婚なされ、お子さまがお生まれになることは当然のことである。天皇にお子さまがおられる以上、お子さまが次の天皇になられることが自然の理である。もし、女系天皇を拒むことができるとしたら、敬宮天皇が家族を持たないときだけであり、それを望むのは人倫にもとるという話に戻る。要するに女性天皇だけを認めて女系天皇については後で決めるなどという案は、これ以上ない国民的反発を受けるだけなのである。


私はさほど悲観していない一人である。愛子様をはじめ内親王にあられては皇統男系の子孫の者と結婚され、お二人のあいだに生まれた子が男系天皇になる筋道が残されている。長子優先の継承は、世襲制の安定をはかる唯一の策であるばかりでなく、皇統に属する男系が切れた場合でも復活可能という長所がある。
それでも何代にもわたって皇統が切れることもありえるだろう。それもやむなきことである。その昔の男女の意識を推して知ることはできないが、現代の目で見ると複数の女性を世継ぎを産む道具にすることでかろうじて維持してこれたのが男系天皇制であった。今、男系でなくとも天皇制の権威を認める理論武装こそ保守の識者に求められている。そしてそれは可能なはずである。

『正論』小児病

いまでは死語と化したが、現実を無視し、物事を観念的、公式的に主張する連中のことを左翼小児病と言う。あのレーニンが唱えてから歴史上は過激な跳ね上がり分子のことを指すのが決まり相場である。どうも「観念的、公式的な主張」と「過激な跳ね上がり分子」は相性が良いらしく、右翼の場合も例外ではないらしい。
遅ればせながら、『週刊新潮』新年特大号と『正論』2月号を読んでみたが、男系継承を説くどの論者も一夫一妻制での男系継承の困難性(→『過熱化する皇位継承問題』)に着目し格闘しておられない。まるで旧皇族皇籍復帰が実現できれば何の問題もなくなるかのような安直さである。現実を無視し駄々をこね、ないものねだりをするそのさまは、まさに『正論』小児病と呼ぶのが適当に思えてくる。(「http://www.kdcnet.ac.jp/sikamasu/seiron.htm
「拙速な議論である」とか、「あわてて女系天皇を認めなくともよい」という批判も現実離れしている。こうした問題は、時機を失すれば男系継承どころか世襲制それ自体が危うくなってしまう。一度皇室典範を改正し、血族による世襲の確保を行ってのちに、男系に戻す策があるやいなやじっくり議論すればよいことである。
また、あいかわらず「愛子さま、あるいは愛子さまのお子さまで女帝になられる方がもし李王家の方と結婚なされたらどうでしょう。日本は朝鮮民族によって無血占領されたようなものです。」と言っているが、父親が外国人とか政治家でもいいのか、というのは「ためにする議論」であり、「最低の議論」である。皇室の結婚は完全自由ではないし、結婚する本人も自分に対する国民の期待はわきまえている。このことを否定したら、そもそも天皇制は成り立たないことになる。

さて、国民それぞれの歴史観や国家観で天皇について抱くイメージが違ってきているのはやむをえないことである。私もこのブログを通して、天皇に関する自分の歴史観や国家観を形成してきたが、完全に私に共鳴できる人は10人にひとりといったところであろう。国民的な問題に関しては事実の相違は議論できるが、そこに歴史観や国家観を絡ませると議論は不可能になる。歴史観や国家観をみんなが共有しているわけではないからである。相手の歴史観や国家観を知ることは相手の主張を理解する助けにはなるが、議論の対象にはならないのだ。
すなわち、「男系で継承してきた」というのは事実であるが、「男系で継承してきた伝統は何がなんでも守らねばならぬ」というのは歴史観であり、「伝統の良いところは残すようにして、改めるべきところは改めてきたのが日本の伝統」というのも歴史観である。皇室典範に関する有識者会議が「歴史観や国家観で案を作ったのではない」といったのは、ここのところを指しているのであろう。

皇位継承順位について

前に、『傍系継承は現代にそぐわない』で論じたことだが、あいかわらず、次のようないちゃもんがなされている。リンクすることはしないが、こうした主張の記事にお目にかかったなら、私の意見と比較してみていただきたい。

皇室典範改正によって、秋篠宮様立太子できなくなり、愛子内親王立太子されることになります。今上天皇の次男である秋篠宮様がおられるのに、その皇位継承権を奪って女性皇族を立太子させるのは、もはやイカれています。


現皇太子が天皇になられれば、秋篠宮が皇太子になるのかというと、現皇室典範でもそんなことはありません。秋篠宮は兄弟ですから皇太子は不在(空位)となります(皇太子 - Wikipedia)。皇位継承の順は皇長子、皇長孫、その他の皇長子の子孫、皇次子及びその子孫であるから、秋篠宮は4番目に過ぎません。皇長孫がお生まれになっていないから、継承順位が2位になっていますが、皇長孫がお生まれになったときに「2位ではなくなるのはけしからん」と騒ぎ立てる人はいないでしょう。皇室典範の改正で皇長孫が女子でも継承されることになることをとらえて「今上天皇の次男である秋篠宮様がおられるのに」との主張は、かなり言いがかりに近い主張だと思います。
なお、「皇位継承権を奪う」とおっしゃいますが、現皇室典範でも次子である秋篠宮天皇になるのは皇太子に万が一のことがあった場合だけですから、不遜きわまる異議申立です。終身世襲制である以上、現皇太子が天皇に即位されて90歳まで長生きされれば、秋篠宮天皇に即位するとしても85歳になってからのことです。男系継承を守りたい気持は支持しますが、「ご説の補強にお門違いの主張を持ち込むと、余計叩かれるだけですから止めていただきたい」と思うのは私だけでしょうか。

現皇室典範
第2条 皇位は、左の順序により、皇族に、これを伝える。
    1. 皇長子
    2. 皇長孫
    3. その他の皇長子の子孫
    4. 皇次子及びその子孫
    5. その他の皇子孫
    6. 皇兄弟及びその子孫
    7. 皇伯叔父及びその子孫