競馬の楽しみ

競馬の楽しみは、馬券を買う楽しみに負うところが大きい。しかし、毎月毎年負け越しでは競馬の楽しみは限りなくゼロに低下するだろう。競馬には「レースを読む」というゲームとしての側面がある。マージャン、ポーカー、将棋、読みを競うゲームはすべて賭け事の対象になるが、いずれも「勝ったり、負けたり」で力量差があまりない場合に楽しむことができるのである。控除率25%の競馬では、誰一人勝つことができない。胴元だけが勝てる仕組みになっているのである。だから、競馬を賭け事にしてはだめであろう。馬券はレース観戦料の気持で出せる額に抑えたほうが賢明なのである。
相撲、野球、これらも賭け事の対象になるが、好きな人は、贔屓の力士、贔屓のチーム、贔屓の選手をかならず持っている。競馬もしかりで、もっと馬にほれ込むべきである。強い馬を強いと率直に認め、称賛する気持を持たずにどうして競馬ファンといえようか。


高額配当狙いで穴期待が高まれば高まるほどアンチ本命派になっていく。人気をかぶった馬が負けることを期待する。負けてしてやったと喜ぶ競馬を続けていては、その人は決して競馬ファンとはいえなくなる。特定の贔屓チームもないくせに、巨人が負けさえすればいいというアンチ巨人の野球観戦派を野球ファンとはいえないことと同じことである。


競馬をギャンブルのための手段に卑しめたくない競馬ファンの馬券は、複勝馬券が基本である。高配当がうたい文句の馬券は的中に自信がもてないから、あとから付け足したりもして何点も買うことになり、「当てる」のではなく「当たり」を喜ぶ出たとこ勝負の宝くじと変わりない。自分が買った馬券ではレースを追うことができず、レース結果と手もとの馬券を見比べている。(当たったかどうかを知るために、あたかも宝くじを買った人が当選番号を調べるように)。複勝馬券ならこれぞと思う馬にしぼって賭けることができる。レース観戦がしやすくなる。かつ面白い。反省、研究にもプラスになる。1頭の馬を終始スタートから追っていったときの面白さ、楽しさは連勝式の馬券では絶対に味わえない。

  • レースは1頭を追うほうがレース観戦に力が入る。複勝馬券を買っておれば、抜かれても2着、3着で頑張っているときのハラハラ、ドキドキとか、後方から追い、差し、1着場に届かなくとも2着、3着でゴールしたときの迫力とかを味わうことができる。5点買い、10点買いの馬券ではレースを十分に観戦して楽しむことができない。
  • 複勝馬券の利点は単勝馬券にも当てはまる。しかし、単勝馬券は1着か否かがすべてであり、大方の本命を的中させても「俺が当てた馬」という喜びにいま1つ欠けるし、本命を切った単勝馬券ではアンチ本命派になりさがっていくので競馬ファンとしては避けたいところなのだ。この点、複勝馬券は「俺が目をつけた馬で取れた」という喜びが大きい。
  • 複勝なら控除率が25%でなく、20%である。配当でツキを楽しむことができる。複勝の3倍は10点買いの30倍に匹敵する。

以上の観点から複勝馬券が基本であること、複勝馬券が競馬を楽しむための条件をすべて備えていることを強調しておきたい。
複勝だと、2度続けてはずしてしまうと取り返すのが大変だからやる気がしないという人が多い。「取り返す」という考えが間違っているのである。「どの馬券でも取り返すことができない」のが競馬の真実なのだ。取られた馬券代は、終わったレースの観戦料であるから二度と戻らないものと割り切ることが肝腎であろう。馬券代に賭けた金額の分だけスリルを味わうことができたのである。それはそれで忘れて、次のレースをいくらの金額で楽しむかを検討してみたらいかがか?