競馬の『必勝法』のパラドックス

競馬の『必勝法』なるものは、それが必勝法であることが明らかであればあるほど、必勝法でなくなってしまう。だから、世に出ない隠れた『必勝法』があるに違いないと信じる人もいるだろう。そんなものはないのである。1節の回収率110%が約束された必勝法があったとしよう。年間50節あるから1.1の50乗の計算になり1年で資金を100倍以上にすることができる。1万が100万になる。翌年は1億になり、翌々年は百億にできることになるだろうか。競馬でこうしたことはありえない。

  • 高額資金を投入すると、オッズを下げてしまい、回収率が悪くなる。。
  • 馬券には「当たり外れ」がかならずあるから、拡大した資金を投入していくと外れた時点で大損してしまう。

競馬は「3分間でできる確実、安全な複利式利殖法」になりようがないのである。

本物の必勝法なら自分だけ儲ければよく、売りに出して商売する必要はない。したがって、売られている必勝法は、いままで回収率が70%だったのが、この必勝法のおかげで80%になった、あるいは90%になったというレベルの話なのである。そして、この、たとえばAの必勝法を採用する人が増えてくることに比例して、回収率は悪化し、替わりに新奇な必勝法や、もはや古いとしてクズかごに捨てられたはずのもろもろの必勝法のたぐいが逆に輝きをもってくるという堂々巡りに翻弄されるだけである。