予想法から必勝法は開発できない

ここで競馬必勝法を「トータルで収支プラスになる、実技を含む勝馬発見の方法」と定義する。


競馬を何度かやったことのある人なら、次のようなことを言ったり、聞かされたりするのではないだろうか。これらはすべてまちがいである。

  • オッズを見て買い目を変えるやり方は邪道だ。自分の買い目に確信を持てるならば、オッズに振り回されるのはおろかなことだ。皮算用より当てることが先です。
  • 競馬に絶対はないのだから、1点勝負はギャンブルです。競馬自体ギャンブルなのだから”ギャンブルの中でギャンブルを打つ”のは禁物です。元返していどに押さえ馬券も買っておくことが大事です。
  • なんだお前、タテ目を買ってなかったのか。おれはこの目もあると思ったから、しっかり取らせてもらったよ。

これらに共通しているのは競馬を当てることだとカン違いしていることだ。
◎○▲印に代表されるように、どの馬券を買えば当るかを説く法を予想法という。予想法から必勝法は生まれない。予想法にもいろいろある。タイム理論、血統論、展開論、格付け、調教、パドック、それが解説者の予想であれトラックマンの予想であれ、共通しているのは、オッズと無関係に買い目を決めてしまう(あるいは決めざるを得ない)という点にあり、それゆえナンセンスである。
典型的なベテラン予想家は、さまざまな予想法をミックスさせて検討し、彼らなりの秘法でA馬が最有力馬であるという結論に達する。そしてA馬にかける。あるいは◎を打つ。ベテラン予想家のこのやり方の悲惨な点は、長年の固定観念と長時間の検討の末に導かれた結論が「どの馬が最有力か」ということから脱け出せないでいることだ。それゆえ、負けたときに思うのは、自分の方式を完成させれば「真の最有力馬」を選ぶことができ、必ず勝利につながると理解することだ。
たとえば、有力な馬がA、B2頭いたとしよう。吟味した結果、A馬にかける。

  • A馬が勝った場合は自分の予想方式に自信を深める
  • 予想外の馬が勝った場合はアンラッキーな原因を探して、それさえなければA馬が勝っていたとする。この場合、自分の予想方式を変える必要はない。
  • B馬が勝った場合に、本来B馬のほうが強かったとすれば自分の予想方式に何らかの欠陥があったのではないかと反省し、その予想方式を修正しようと試みる

こうした実りのない努力をくりかえすことによって、その試みの数だけの「ベテラン予想家」が生まれる。
なぜ実りがないかというと、こと的中率という点では単勝にせよ、馬連にせよ、あるいは馬単にせよオッズに示される①番人気の的中率にまさるものはないと考えてしかるべきだからである。この問題に我々はもっと謙虚であってよいのである。


競馬ファンの中にはあなたより、あるいは専門家より、IQ指数がハイな連中や、経験値では誰にも負けないというファンがゴマンといる。老若男女を問わず、あなたや、専門家が一番研究熱心なのではない。当てるということにかけては、無数の智恵や、経験、研究の結晶であるところの①番人気の的中率にまさるものはないのである。
しかしながら、①番人気に賭け続けても儲けることができないことは誰もがわかっている。そこで的中率よりも回収率が問題だ。回収率をいかに高めるかを研究すれば必勝法の発見は不可能ではないと考えることになる。これについてはまた明日以降に論稿することにする。