控除率25%の秘密

  • 中央競馬控除率は25%だから、友人4人で競馬場に行ったときに、1人が負ければ、残りの3人はトントンで終わるし、もし2人が負ければ残り2人はまちがいなく儲かることになる。

これは競馬のハウツー本からの簡略な引用なのだが、つまり「俺がこんなに負け続けているからにはウラでたんまり儲けている奴もいるにちがいない」と作者は考えているわけだ。つまり次のようなモデルケースが正しいと信じている。

  • もし、友人4人でそれぞれ1万円を持参し競馬場に行き、ほかに誰一人参加者がいないと仮定すれば、4人で4万円、JRAの取り分は25%の1万円だから残りの3万円を4人で取りっこする。カモにできる友が2人いれば、この3万円は残りの2人で山分けだから、持参した1万円以上の戻りが可能なのは明白だ。

ここで自説を披露したい。

  • 持参金の総額の75%(3万円)をJRAに盗られ、残りの25%(1万円)を4人で奪い合うのが競馬の本質的な仕組みである。3人の友人全員がすってくれても、かろうじてトントンになるだけだから、友をカモにすることはできない。これは気づいてみれば全員がJRAのカモだった、というジョークなのだ。

2人が負ければ残りの2人はまちがいなく儲かる」と「全員がJRAのカモだった」というのはどちらが真実に近いであろうか。経験則からすれば後者のほうである。一見理屈に合わないようなことがなぜ真実なのか、どこに錯覚があったのか、説明は後に回して結論を言おう。

  • あなたが競馬場に1万円持っていけば1レース2500円で12レースの計3万円(つまり元手の3倍の)勝負ができ、3万円の25%にあたる7500円をすって、2500円しか残らない。これが25%の控除率の実体なのである。JRA流の発表は本日の売上3万円そのうち25%の7500円をJRAではいただきましたということになろう。お気付けだろうか。30000円−7500円=22500円がギャンブラーの取り分ではないことに。それは錯覚(数字のマジック)だ。あなたは1万円持参し、そのうち75%をJRAにとられ手元には25%しか残らない。この逆転した現象を生み出すのが控除率25%の秘密なのである。*1
  • 元手の3倍まで勝負できるというのは一人一人のギャンブラーにあてはまるわけではないが、ギャンブラー全体で見た場合にはほとんど確実な数字であることに留意してほしい。
     ちょうど株式投資で3〜4倍の信用買いをしたようなものだ。100万円の手持ち株を担保にして300万円まで信用買いすれば25%値下がりしただけで損失は300万×0.25=75万である。25%の値下がりで元金の100万円の75%にあたるお金をすってしまい、手元には25%しか残らないのと同じなのだ。

夢のない話だが、いつもスッテンテンの人にとってはなぐさめになるのではないだろうか。「並の人間で回収率75%が期待できるはずなのに、スッテンテンになる俺は並以下の人間だ」と悲観することもないのがわかったからだ。


ここで昨日の話に戻す。

  1. 競馬でスッテンテンになるカラクリが見えてくると、横領犯が競馬で損をした2億5000万の75%JRAの収益になっていることがわかる。スッたお金は全部JRAに巻き上げられたと解釈するしかない。なぜなら、競馬参加者どおしの取り合いは「取ったり、取られたり」であるから、平均すれば勝ち負けなしであり、この横領犯が平均以下の成績だったとする証拠はないからである。
  2. 控除率を30%にしたら払戻金が減るから、その分だけ軍資金となって還流していた売上げが減少する。今まで30000円の売上げの25%で7500円の収益だった。控除率を30%にすると売上げが25000円に減り、30%は7500円であるから、少しも増収にならない。それどころか全体の競馬人口は減ってしまうから増収どころか、減収になること確実である。むしろ控除率を20%にしたほうが一人あたりの収益は変わらず、競馬人口が増えて増収になることになる。英断ができないのは競馬熱をあおることへの批判があるからであろう。

ジャブの打ち合いはこれくらいにしておきましょう。明日はストレートパンチを見舞いますから、しっかりガードしてきてください。

*1:納得いくように検算してみよう。
1万円あれば2500円×④レースできる。75%払い戻しを受けると7500円返ってくる。したがって、2500円×③レースできる。7500円×0.75=5625円戻る。2500円×②レースできて、手元には625円+5000円×0.75=625円+3750円=4375円残る。さらに2500×①レースで残金は1875+2500×0.75=3750円。再度2500×①レース可能で残金は1250+2500×0.75=3125円。ここまでで、④+③+②+①+①=⑪
であるから残りは1レース。手元に625円残して戻りは2500円×0.75=1875円。手元に残した625円を足して丁度2500円。つまり、12レースやって残った持参金が2500円。はじめに1万円あったわけだからJRAに盗られたのが7500円ということになって検算まちがいなしである。回収率75%にしたいなら払戻金には一切手を触れないことである。
 もし、競馬好きな家族なら、規約をつくって私設ウインズを運営すればよい。JRAやノミ屋にテラ銭をとられることなく競馬を楽しむことができる。運営のしかたは種々あるので創意工夫すると面白い。家族マージャンとおなじで法律に触れることもないし、負け分が貯蓄になる。