探索:皇位継承問題

今日は時間がたっぷりあったので、ネット上を丹念に見て回ることができました。精査してみると、女系天皇反対論は1年前にほとんど出尽くしており、いまネットで論じられていることは、その焼き直し、プロパガンダにすぎないことがわかります。違いは、書き手が増えただけではないでしょうか。「論」と名のつくものは、拮抗する「反論」を発見するか、自らつくりだすかして再否定することを繰り返すことによってのみ深化します。その意味では、徒党を是としない孤独な作業になるほかありません。逆を言えば、この孤独な作業を放棄して徒党を組んだとき、「論」は深化することを止め、プロパガンダに堕するのだと思います。そうしたなかでも新鮮な記事を発見しましたので、紹介します。
皇位継承問題:「違和感」の尺度 泉 幸男

さて、愛子さまのご成婚だが、日本有史以来おそらく前例のな
いパターンが、よりによって日本文明の象徴たる皇室において展
開することになる。

皇位継承者たる愛子さまをつねに優位に立てた形で、すべての
儀式を進行させなければならないとすると、どういう儀式になる
か想像がつくだろう。

お嫁さん側がお婿(むこ)さんを率いてゆく儀式になるのだ。
たぶん、全国民が絶句する。

 いわゆる婿入り婚は日本にたくさんある。
 しかし、婿入りする男性が将来の当主となることを前提として
いるから、儀式はやはりお婿さんのほうを優位に立てつつ進行す
る。
 そうしないとサマにならない。

 ところが、愛子さまのご成婚ではあくまで「お嫁さん」側が将
来の当主だから、お嫁さんをつねに優位に立てた儀式となる。
 −−−(中略)−−−
これが国民に与える違和感は、衝撃的なものだろう。

私はこうした具体性のある問題提起が好きだ。泉氏が言わんとするところは、全文を参照していただいて、その微妙なニュアンスを受け止めていただきたい。ここでは引用した文に限っての話だが、私は泉氏の危惧は杞憂に終わると思う。愛子様のご成婚は20年ほど先のことであるから、国民の意識も変わる。「男が先、女が後を歩く」ということのほうが外国人の目には奇異に映るはずである。欧州では女王の結婚式は経験済みであるから、日本もこうした前例を参考にして演出を考えればよいだけのことであろう。


欧州の前例を探していたら、こんなサイトも発見したので、その中から抜粋して紹介します。

   殿下執務室

 恐らく、欧州の王室などにおいても、女系に王統が変わることはあっても、その際には、男系を替える側にもかなりの「相応の背景」を求めていて、血統的背景の下に「王朝交代」をしているのではないかなとも。ヴィクトリア女王アルバート公といとこ婚になってるというのはその有名な事例ではありますし、ハプスブルクが政略結婚を重ねて王朝を拡大したというのも有名ですが

皇室の安定継承を何が一番阻害したか、というと、結局「貴族制を廃止して姻族を消滅させたこと」が最も大きく、要するにGHQが60年前に仕掛けたことが今になって大きく響き始めてるということなのだろうなと思われ。要するに、現在なぜ日本で「女系相続」に関してとやかく案じられるかというと、本来は万世一系の維持が問題なのではなく、それ以上に問題なのは「女系に切り替えた」場合に、女系に対して貴種性を保証する存在が果たしているのか、という部分だったりするのではないかなぁと。実際、親しみやすい皇室とか自由な皇室というのはなってもいいのだけど、反面皇室にはノブレスオブリッジも常に求められている訳で、「ファースト・ジェントルマン」たる女帝の配偶者となるべき要件の高さを思うとかが、「女系相続」における最大の壁な気がしています。

欧州の例を見てもまったくの民間人が配偶者男性になることはありません。日本には旧皇族の男性、旧皇族ではないが男系子孫の男性が相当数いるわけであるから、愛子様に限ったことではなく、宮家独身女性の配偶者を選定する際の有力な候補という捉えかたで国民的理解が得られやすいということになるかと思います。