私が長子継承を支持する理由

『取扱注意: 過熱化する皇位継承問題』のコメント欄でも述べたように、長子が皇子様なら民間の女性から配偶者をお選びいただいて、長子が皇女様なら配偶者は男系男子のなかからお選びになっていただけるとお慶ばしい、というのが私の考えです。「男系男子」は旧皇族に限定しないで広い意味で捉えています。長子継承でも男系継承が可能であることは(変則ではありますが)理解していただけたかと思いますが、補足をかねて何点か私の意見を連ねてみます。

  1. 具体的な事柄は皇室のご意向に委ねるのが適切であり、また自然の理にかなっています。皇室が男系での継承を大切にされてきたことは事実ですが、側室制度の復活などありえない今日、男系での継承を強制するような皇室典範が弊害になっていることは明らかです。
  2. 長子継承への変更もさることながら、女性宮家の創出も急がれます。長子から長子への継承ができない(独身、お子様に恵まれない、、、)ときに次子の長子へとリレーされていかねばなりません。愛子様の次の皇位継承順位は第1位が愛子様の長子ですが、不在の場合は眞子様の長子、佳子様の長子の順になります。紀宮様皇籍離脱は残念でなりませんでしだが(離脱していなければ佳子様の長子の次が紀宮様の長子の長子)、皇室典範を今のまま放置していては眞子様佳子様も皇族から離れていってしまいます。
  3. 側室制度が考えられない今日、「男系での継承」を声高に運動することは自らの主張の実現を遠ざけてしまうだけです。ずーと男系で継承されてきたということがあまり知られていなかったときとは趣きが異なってきています。「男の子を生んでくれないと困ります」ということがあからさまになった社会では、皇族の男性(旧皇族の皇族復活がなされたとして)はプロポーズした女性に「私なんかより若い女性をお探しください」と断られてしまいます。若い女性は「もっと社会経験を積みたい、働きたい、学びたいこともある。子育てはそれからにしたい」といって断るでしょう。「愛子様の配偶者に皇族男性を」と主張することと、「愛子様の配偶者は皇族になれる」との違いは、「天皇になられるのが愛子様か、皇族男性のほうか」の違いだけです。「男系での継承」を声高に唱える難点は、配偶者問題を愛子様のおかげで乗り切れて、かつ皇子様誕生の願いがかなったとしても、皇子様のお妃選びで行き詰まることになる可能性が極めて高いという点にあるのです。
  4. 皇室が激務であることは国民の多くが認識しています。女性宮家の創出と存続は今日の要請でもあるでしょう。式典への参加、慰問、学問技芸の奨励は皇室がよくなしえることです。国民の大多数が賛成していることの橋渡し役を「皇室外交」の形で皇族が担うこともいいことです。頃合いよく72歳の誕生日を迎えられた天皇陛下が、女性皇族について「その場の空気に優しさと、温かさを与え、人の善意や勇気に働き掛けるという非常によい要素を含んでいる」と触れられました (記者会見の内容全文→宮内庁ホームページ)。私は、皇室典範の改正案が議会の内外の反対の声に圧されて、法案提出を断念するような事態が生じないことを願うばかりです。「皇室典範改悪阻止」を訴える人たちは、御自身の主張が無責任なものになっていないか、くれぐれも注意して発言していただきたいと思います。