私は「おそれおおくも」とか「不敬な」とか「かしこまって」とかいう言葉が苦手である

戦後民主主義というのは議会制民主主義にすぎず、会社の社長が従業員選挙で選ばれるわけではない。戦前から現代まで企業のなかは絶対主義権力が通用していて、その頂点に会長ポストがあり、「天皇」と呼ばれたりしている。こうした企業は上から下まで序列が決まっていて軍隊式に統率されていることが多いようだ。権威と権力が一体であり、臣下は絶対服従を余儀なくされる。「おそれおおくも」とか「不敬な」とか「かしこまって」とかいう言葉を使う人たちによって支えられる天皇制は、こうした企業内天皇のイメージが重なり、好きになれない。皮肉にもこうした右よりの人たちに今上天皇が支えられているという側面があるのも事実だ。だが全体の1割に過ぎない。国民の8割はいま流の健全な思考で天皇を支持していると思う。残りの1割が絶対反対の左翼だ。
今上天皇が少し左を向くと5%の右翼が天皇支持をやめ、5%の左が不支持を撤回して天皇支持を表明する。全体としての9割の国民に支持されることに変わりない。皇室は波風立てずに、つつがなく激務をこなしている。私が天皇に伝えたい言葉は「ありがたい」のひと言のみである。